新卒の就職先を選ぶ方法といえば、「会社名」が1番手っ取り早いと思われがちですよね。しかし、株式会社Strobolightsは、就活生に向けてあえて【社名を出さない合同企業説明会】を開催します。(正直なところ、就活生にとって、社名がわからずに話を聞くなんて不安すぎる…!)
今回は
「社名を伏せた状態で会社説明を聞くメリットとは?」
「なぜ企画をしたのか?」
を、株式会社Strobolights代表の羽田さんに直撃しました。
そこには、最近の就職世代の傾向だけでなく、個人の長期的なキャリア形成や、生きやすさを考えるためのアイデアがつまっていました。
社名の大きさ以外で、就職先を選ぶ方法があってもいい
――社名を出さない合同説明会とは、どんな説明会ですか?
企業の大小イメージや、学生にとって「知っている」「知っていない」というバイアスを全部とっぱらった状態で開く説明会です。参加企業は、必然的に社名ではなく「中身に魅力があります!」と言える自信のある会社が集まります。就活生は、今までとは違った新しい視点で、説明会に参加することが可能です。
――就活生が、社名を出さない合同説明会に参加するメリットは?
僕は「人の目就活」と呼んでいるんですが、企業を選ぶとき、自分自身がいいか悪いかではなく、親や他人から見てどう見えるかばかり気にしてしまう学生がいます。だから名前を見て「知っていると安心」。知らない会社は「怪しい・不安」となる。
でもそれはもったいないですよね。キャリアの遠回りをすることにもなりかねません。僕は若手社会人のキャリアコーチングもやっているのですが、キャリアのモヤモヤは大手企業に勤めてる人の方が多い気がします。それでその後ベンチャーや中堅企業に転職するとすごく活き活き働いているんです。これは、大手企業の”名前”に盲信していた結果だろうなと。でも就職ナビや合同説明会はまず「社名」がずらっと並んでいるじゃないですか。名前や肩書きから入るコミュニケーションはどうなんだろうなあと。
今回の合同説明会では、社名を出さずに語りたいテーマ(働き方の特徴や、職場の価値観など)を設定して、それぞれの会社に話してもらいます。就活生は、いい職場探しのための足かせとなるようなバイアスを除き去って、純粋なフィーリングで「ここ好きかも!」と思える会社の話を聞くことができます。
実は中堅企業・ベンチャー企業に合っている人もいる
――時代が変化していても、やっぱり「大手に入ったら安心、自慢できる」という価値観は学生には残っているのではないでしょうか?
大手には「数年のうちに会社がつぶれることは(多分)ないはず」「親を安心させられる」という期待感があると思います。でもこのご時世、会社が末長く持続するかはわからないし、安心するといってもほんの数年の話にすぎません。あと企業体としては安定していても、それは働く社員の安定とは違うと思うんですよね。入社した後の経験に違いが出てくる。
――大手企業に入るのと、中堅企業・ベンチャー企業に入るのではどのような違いがありますか?
大手企業に入ると、自分にハッシュタグ「#(大手企業)」を付けていられるような快感は確かにあるかもしれません。高級ブランドを持っているような感覚ですね。
でも、大手企業はある程度仕組み化が進んでいるので、「あなたの仕事はここからここまでです」とはっきりと線引きされていることも多いです。「この仕事は私がやりました」と言い切れる成果が得られる人は実力のある一握りの優秀な人だけ、という構造になりがちです。
反面、中堅企業・ベンチャー企業などのそこまで大きくない会社は、自分自身にハッシュタグ「#(スキル)」「#(本当に自分がやったと胸を張れる仕事)」を追加していくことができます。そもそも人が足りないので一人が関わる仕事が多岐に渡りカオスになることも多いですが、入社以降の自己肯定感が大手よりは上がりやすいです。自分だけが成長するのではなく、会社全体がグーンと伸びる瞬間に立ち会える可能性もあります。
僕は別に大手企業がダメだと言っているわけではありません。その会社でやりたいことがあって、それがたまたま大手企業だった、は分かるんです。でも、圧倒的多くの学生はハッシュタグ欲しさで大手企業に盲信しているような気がします。
――名前や肩書きではなく、自分に合った就活をしてほしいということですね。
そうですね、本来は自分に合わないのに就活の雰囲気にのまれて、無理矢理きらびやかな世界に行こうとしてしまう。特に就活の選考が早期化し、学生は内省する期間が短くなってしまった。社名や肩書きではなく、企業の本当の魅力に注目して、自分に合うか合わないかを考えてほしいですね。
僕も小さな会社に入社して、スキルをつけていきました
――羽田さんは、新卒で株式会社毎日コミュニケーションズ(現マイナビ)に入社しました。まさに、小さな会社が大きく成長していく瞬間を見ていたんですね。
本当にそれはラッキーでした。当時は社員が300人くらいしかいなかった会社ですが、今は1万人近くいるわけです。大企業は人数が多いために、上の人やライバルがたくさんいます。しかし僕の場合、入社時はライバルが少なく、出世が早いというメリットもありました。本人の努力次第で給料が上がりやすいし、会社が成長すれば自社株の価値が上がって大きなリターンが得られるメリットもあります。
――羽田さんは今まで、いろんな人の人生やキャリアを見てきています。将来、転職活動をするときは、会社名で有利になることはありますか?
「大企業にいました」というネームバリューで有利になる、という幻想は確かにありましたよね。でも今は大企業じゃないと転職できないという時代ではありません。
大手企業で働いていても、諸先輩方の築いてきた知名度と方法論をこなしているだけでは人材としての価値は上がりませんよ。
今、転職市場では「あなたは何ができますか」「どんなことを考えて、どんな仕事をしてきて、どんな成果をあげてきましたか」ということが問われています。「どこで働いてましたか」じゃないんです。だったら、社名にとらわれず、いろんな裁量権が任される仕事に早くから就いていた方がいいと思います。
社名を出さない合同企業説明会は「あったかいイベント」にします
――社名を出さない合同企業説明会は、どんなイベントにしたいですか?
一言でいうと、「あったかいイベント」にしたいですね。今回はオンラインで学生はカメラオフですが、将来的には学生と社会人が人と人として、等身大でしゃべれる雰囲気を作りたいです。社会人生活と学生生活の間に、大きな壁はありません。今の学生生活の延長線上に、社会人として働くことが待っています。
まずは、「なんだろうこの会社」と社名や詳細を調べたくなるほど、自分の興味がわいてくる会社を見つけることから始まります。
ぜひ自分の価値観に沿って、自由な就活をしてみてはいかがですか。